TAESSAY VOL.11

社会資源があってこそ

半年以上かかってやっと歯科治療が終わった。虫歯ではなく、根管治療。神経を抜いてかぶせたところが炎症を起こして膿がたまってしまったのだ。この膿がなかなか取り切れなくて先生も手こずっていた。かみしめが強いのも影響しているらしい。年々筋緊張が高まっていることもあって、こればっかりは仕方ない。先生も「なるべくかみしめないようにしてくださいね、でも秋元さん難しいですよね」といった感じで・・・。治療する歯以外を薄いゴム製シート(ラバーダム)で覆いかぶせて口腔内の唾液や細菌による治療部位への感染を防止して行うのだが、これをつけるだけでも一苦労。あるホームページによると『ラバーダムを使用することで、様々な口腔内細菌が根管に侵入するのを防ぎ、無菌的な処置を行うことが可能になる』そうだ。しかしながら、この治療法は日本では数%のクリニックでしかやっていないらしい。技術もいるし、その割には報酬単価が安いとのことで。それを私に施すとは、どんだけ患者思いなの?そもそも私は歯科治療を拒まれ続けた経験がある。頭は動くし、口を開けてられないし、舌をコントロールできないし・・・・・、どうにもならなくて最後は大学病院に行く羽目になった。治療を受けられるだけでも大感謝なのに。本当にありがたい。調布には、障害者を専門に見てくれる小島町歯科診療所があり、歯科医師会が輪番制で開いてくれている。他のところでも大丈夫となると、対応してくれるところを紹介してくれて、細かく申し送りをしてくれる。この経過を経て今の歯科医院に診てもらってかれこれ10年になる。調布で一人暮らしを始めてから、ほぼ虫歯はない。定期的な検診&クリーニングと日常的にヘルパーさんが歯磨きをしてくれているおかげ。地域生活を続けていくために必要な社会資源の1つだ。重度の障害を持つ者にとって、「理解して対応してくれる人」こそ最高の社会資源と言える。