TAESSAY VOL.6

障害はパワーだ!

頸椎カラーを常用するようになって4年がたった。こんな早い段階で使うようになるとは思っていなかった。「いつかはつけなきゃいけないんだろうな」ぐらいは考えていたけど。

4年前の夏、すでに筋緊張は以前よりも強くなっていて、弛緩剤も飲んでいたし、リハビリも欠かせなくなっていたのだけれど、異常に緊張が強いのと若干しびれも出てきた。いつも診てくれている先生に話したら、「そろそろ手術までしてくれる病院で診てもらった方がいいかもなぁ」と言われて。自分が納得のいくところがいいからと、先生と私、それぞれで探すことになった。ゆくゆくはとの思いもあったので、ある程度調べてはいて、そこから絞り込んだ。で、翌月、先生と相談してY病院に決めた。脳性まひの二次障害による頚椎症に積極的に取り組んでいる有名な病院。紹介状を手にドキドキしながら病院に向かった。2時間以上の道のり。

病院に着くなり、同じ障害であろう人たちの姿が目に付いた。それだけでもちょっと安心した。後から看護師さんに聞いた話だと全国から来ているらしい。待つこと3時間。成育歴から今の生活状況まで丁寧に聞いてくれた。この先生だったらゆだねようと思わせてくれた。せっかくだから、レントゲンを撮っていこうかと言われて、レントゲン室へ。レントゲンで1発OKになったことがないので、時間がかかるんだろうなと思っていたら、すべて1発OK。技師さんたちが手馴れていて、よくアテトーゼ脳性まひの扱いを心得ているというか、特徴を熟知していて、感激した。ここの病院に決めた決定打だ。たいていの場合、「動かないでください」と言われて、余計に動いてしまい、抑え込まれて撮っても、ぶれてしまって撮り直しということが多いのだが、ここでは抑えるというより、軽く支える程度で、「そのままでいいですよ」とか、「いいですね」という言葉をかけてくれて、一瞬のタイミングを逃さずに撮ってくれるのだ。以降、年1回は撮っているがほぼ失敗はない。

レントゲンの画像をみながら、「まだ大丈夫そうだね」と言いつつ、こちらを見て「でも秋元さん、動きが強いからなぁ」と、頸椎カラーをつけることと薬を1種類増やすこと、ボトックス治療を受けることを言われた。カラーと薬はちょっと抵抗したんだけど、「なるべく手術を先延ばしするために、今できることはしようよ」と言われ、しなくて済むじゃなくて、先延ばしなんだという現実と決して押し付けではない先生の言い方にこの頑固な私が「はい」と返事してしまった。今はカラーをつけて、薬を増やして、ボトックス注射もして、3ヶ月に1回の通院は小旅行感覚で手術することなくここまできている。

元々首周りに何かあるのは嫌で、好んでハイネックを着たり、マフラーをすることがなかった。なにより、頸椎カラーはカッコ悪いし、見る人が見れば二次障害だってわかる。動きを止められることがきつい。。。。との思いが強かったが、まぁ、この障害だから仕方ないかと腹をくくって受け入れることにした。まずは見た目を変えようと大判のハンカチなどを巻いてちょっと悲壮感を消してみた。これが意外とおしゃれアイテムに。服装に合わせてコーディネートするようになった。それでも固定されてことがきつくて、最初のころは外したりつけたりしていた。今もきつい時はあるけどそこそこ慣れた。考えてみると、冬は防寒に、夏は日焼け防止になっている。マイナス面をあげればきりがない、でもプラスに思えることも必ずある。そこをどう膨らませていけるかで日常を楽しめるかどうかが決まる。年齢とともに障害は重くなったし、不便を感じることも多くなってきた。でもだからこそ、もっと制度を整えなきゃとかもっと重度の仲間のためにできることをより考えるようになった。私がCILの活動をしていくには大きな要素だ。障害者運動の父であるエドロバーツの「障害はパワーだ」との言葉に通じるものがあると感じている。

 

二次障害

成人の肢体不自由障害者、とくに脳性麻痺障害者で、既存の障害による、持続的な姿勢の異常(痙性麻痺によるもの)や、体の各部分における持続的な過負荷状態(不随意運動によるもの)が原因で、骨格等の変形により、色々な疾患を発症し、新たに生活上の不自由をきたすことを言う。

症状としては、肩こり、手足の痺れ、頸や腰、股関節など体の各部関節の痛みやこわばり、運動能力や筋力の低下、排尿の変化、自律神経失調の様な症状など、幅が広く様々ものが見られる。
発症する疾患としては、頸椎や、腰椎の変形性脊椎症、椎間板ヘルニア、変形性股関節症、脊椎側彎症、ポストポリオ症候群などがあげられる。障害が重度化する可能性もある
30代から発症する例が多いが中には20代でも発症する事もある。
重度の障害者ほど早く発症する傾向にあるが、生活の仕方や就労形態などにより、軽度の障害者でも若年から発症する場合もある。

 

ボトックス療法

ボトックスをからだの一部分に注射すると、その局所において筋肉へ向かう神経の末端(あるいは自律神経の末端)にただちに取り込まれ神経を麻痺させて、その結果、注射された筋肉のみを弛緩させることができ、不随意運動を抑制する。ボトックス注射後、10日~1か月後に1番効果が現れ、2カ月程度で消失する。不随意運動による頭の揺れが軽減され、首や肩の痛みが緩和される。反面、緊張パターンが変化する(いつもはそれほど緊張しない場所が緊張する)場合があり、その緊張で疲れやすくなったり、反対に力が抜けてだるくなることもある。個人によって、効果や副作用の現れ方はさまざまである。秋元は毎回パターンが異なり、効果消失後も変化するため疲れやすい。先生は手術を先延ばしすることに重きを置いている。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。